『Fallout: New Vegas』があまりに面白かったんで、流れで買った『Fallout 3』(265円)をクリアした。全体的な完成度・満足度は次第点ではあるものの『New Vegas』に遠く及ばなく残念。

まず、メインストーリーが薄い。『New Vegas』も軽い方だと思うけど、流石に3よりは複雑でバラエティに富んだシナリオが用意されていた。だいたい、メインの悪役(ヴィラン)が登場するのが終盤ってどういうこと??それに世界を救おうとするモチベーションも低い、というか人探しのついでに、という感じがした。この内容でカタルシスを感じた人がどれほどいたのだろうか?『New Vegas』にあったような無力感やほろ苦い結末の余韻はどこにあるのだろうか?

さらにサブストーリーも印象に残ったものが少ない。個性が爆発したような『変な人』が少ないので世界を放浪していて刺激に乏しい。それでも「カンタベリーコモンズ」や「アンデール」、「テンペニータワー」の人たちのように「なんだ、コイツら」と思わせる人たちもいたと言えばいたけど。それにコンパニオンのクエストがないので、せっかく一緒に旅をするコンパニオンのパーソナリティが希薄。メインストーリーで絡むスーパーミュータントのオッサンのようにバックストーリーがちょっと語られるだけで思い入れが出てくるのに。

ワールドデザインも納得がいかない。まず、DCエリア。あれは何だ。まるで迷路。地下鉄も迷路。ストレスがたまりすぎてスーパーミュータントになるところだった。移動経路がわからず、何度もYouTubeでカンニングした。何を考えてあのようなデザインにしたのかさっぱりわからない。

それに変電所や通信タワーが意味ありげに点在しているのにストーリー上ほとんど関係がない。何らかのクエストが作られる予定が、スケジュールの都合上カットされたかと疑いたくなる。他にも存在しているだけで特に面白みがない建物・場所が多い印象。新しい場所を開拓していくのがオープンワールドゲームの醍醐味の一つなのに、これでは片手落ちだ。

気に食わないことばっかり書いたが、序盤の引き込み方は『New Vegas』より断然上だと思う。『Fallout 3』は生まれたての赤ん坊から、子供時代、青年時代へと主人公の成長を開始直後から丁寧にプレイさせられる。Vaultという閉鎖された場所・コミュニティへの帰属意識を強く感じさせるほど、その後に広い世界へ出ていくことへの意味が重くなる。振り返ってみると、『New Vegas』の「俺を殺そうとしたヤツに仕返しに行くぞ!!」という導入はあまりに陳腐で脳みそがチンパンジー並だ。ある種ゲームのお約束なので忘れがちだが、荒れ果て、暴力が支配するカオスな世界を放浪する行為は、普通に考えれば「異常な事」なのだ。プロローグ的に安全で幸せな時間を味合わせることが如何に重要かがかえって際立つ導入で印象深い。

総評として、『Fallout 3』は傑作『Fallout New Vegas』ほどではなかった。しかし、キラリと光るところがないわけでもない。『Fallout: New Vegas』をプレイして気に入った人は『3』もプレイすべきだ。こじんまりとしてはいるが、手堅く纏まっている。出来の良い「兄弟」が目立つだけで、決して落ちこぼれではない。