555円で買った『Far Cry 5』をクリアした。難易度ハードでやったがステルス中心に進めたのであんまり関係ないかも。

Far Cryはオリジナルから4までナンバリングは全部クリア済みだが、5のカルト教団という設定が一番興味深い。特にメインビランであるジョセフ・シードのてらそままさきによる日本語吹き替えがすばらしい。単なる狂気だけでなく寂しさや愛情も感じられ、まさに”教祖様”に相応しい演技。

その反面、中ボスにあたる三人の”使者”の印象はかなり薄い。洗脳された”ただの頭がおかしい奴”から抜け出せてないのではないだろうか。もう少し、パーソナルな部分にスポットライトを当てて人間味があればよかったのに。

そして、ゲーム中は基本的にジョセフではなくこの3人の使者が相手になるので少し盛り上がりに欠ける面がある。しかも、この3人とのストーリーの違いが表面的な部分のみでやることは同じなのが気になった。だから一人目の使者を倒して満足出来なかったらゲームをやめたほうが良い。ただの繰り返しなので。

シューティングパートはこれまでのファークライシリーズと良くも悪くも代わり映えがない。とくにサプレッサー(サイレンサー)が強すぎるのは伝統なんだろうか。デメリットがほぼ無いのでゲーム中盤からはずっと「カスッカスッ」と迫力のない音を聞き続けることになった。あと、プレイスタイルにもよるがアサルトライフルばかりでショットガンなどをほとんど使わなかった。これもシリーズ伝統だろうか。そういえば目新しい変更もある。今回はNPCか他のプレイヤーを招いてプレイできるようになった。常にCOOPしていような感じ。全くひとりで遊ぶこともできるが、なんらメリットがない。ダメージを受けてダウンしてもNPCが駆けつけて復活させてくれることがあるのでこのCOOPは便利だったが、雰囲気がかなり削がれるのでずっとブーマーという名の犬をお供にプレイしていた。桃太郎みたいだ。

ステルスに関してもシリーズを踏襲している。敵をマークして一人づつおびき出しテイクダウンするのは同じ。今回からLMGを持ったヘビーアーマーや火炎放射器を装備した敵も最初からテイクダウン可能になった。これはマップのどこからプレイしてもよいというデザインからこうせざる得ないのだろうとは思うが、前作までのアンロック方式がかなりストレスだったので改善になっている。

マップ探索は洗練されて来ている。前からちょっとした謎解きのようなものがあったが、今回は「プレッパーの宝」というサブミッションになっている。プレッパーとは終末や災害に備えて地下室などに大量の食料などを蓄えている人たちのこと。この人たちが残した資源をちょっとした謎解きで探すというミッションなのだが、ミッション毎にテーマがあって新鮮味がある。また、今回はファストトラベルポイントが至る所に設定されており、スキルをアンロックすれば上空からパラシュートやフライングスーツで自由に移動することができるので移動に関してはストレスフリーな作りになっている。やはりシリーズも5まで来ると痒い所に手が届くようだ。

ストーリー上の難点を言えば、いくら何でも状況に無理があるのではないか、と思う。モンタナ州がどんな場所か知らないが、そこら中で人が殺されているような状況で外部と一切連絡が取れないなんてことがあり得るか??ホープ郡がクソ田舎とはいえ現代のアメリカだぞ??

エンディングも「崩壊」を迎える方をプレイしたが、リアリティがなさすぎて冷めてしまった。いや、冷めたというかポカンとした、というほうが正しい。それくらい意味不明。オウム真理教事件を彷彿とさせるが、似ているようで思想・動機が全く異なる。スッキリしないエンディングはいつもと同じだが、描写が非現実的かつチープすぎて納得できないのは残念だった。

長々と書いてしまったが、一言でまとめると「いつものファークライ」だった。決して完璧ではないが、最初の2時間は最高に楽しい。後は惰性で、というゲーム。