Epic Games Storeで無料配布されていた『Metro 2033 Redux』をクリアしたので感想を残しておく。ちなみに『Metro 2033 Redux』は2010年にリリースされた『Metro 2033』のリマスター版で、ビジュアルが向上した以外は同じもののようだ。2011年の夏にSteamのセールで『Metro 2033』を購入($5)して以来ほったらかしていた身としては実に切ない。やり場のない思いに悶えるばかり…。
さて、『Metro 2033 Redux』だが日本語ローカライズはされておらず、英語でプレイした。一応、有志の日本語化MODが存在しているようなのだがEpic Storeバージョンの『Metro 2033 Redux』日本語化はすごくめんどくさそうだったので諦めた。どうやらSteam版ならMODファイルを上書きするだけでよいっぽいので残念だ。ただ、ゲーム起動画面に表示されるメッセージを見るに小説原作が存在しているようだが、大したストーリーではなかったのでそこまで気にする必要はないだろう。”核戦争後の汚染と放射能によって生まれた化物が跋扈する地表を捨て、人々が地下鉄駅に定住するようになった”というありがちなポストアポカリプス物だ。ロシアが舞台なのだが、主に地下鉄の駅やトンネルを進んでいくのでロシアっぽさは薄い。無法地帯でナチやコミュニスト(共産主義者)が戦闘を繰り広げていたり、登場人物のセリフが全部ロシア訛の英語だったりで多少の雰囲気はあるのだが。
正直言うと、英語というのもあるが、時折挿入される人の言葉を話す訳のわからない化物や意味不明な幽霊?とシャーマンみたいな爺などが出てきて途中からポカンと呆けてしまった。これら神秘的というか超自然敵要素が物語の根幹に食い込んでくるのは以外だった(そして、面白くはない)。
やはり、このゲームのキモはステルススタイルのゲームプレイであろう。廃墟となった薄暗い地下鉄の駅の中、ランプの光消して周り、暗闇にまぎれて静かに敵をテイクダウンして回るのは、潜入のドキドキ感と相まってなんとも言えない魅力がある。テイクダウンモーションも敵の首にナイフを突き立てて返り血を浴びたりしてカッコイイ。難易度はFPS経験者向けのモード(ノーマルの一つ上?)でプレイしたが、マップに用意された弾薬の量から判断するに、ある程度ステルスで進む事を想定しているのは間違いないだろう。銃撃を好む場合も武器にサプレッサーをつけてアップグレードすることが可能になっているし、当たれば即死という強力な投げナイフも利用できる(しかもこの投げナイフは回収することで何度でも利用できる!)。
ただ残念なのは優秀な対人戦と比べて対モンスター戦がイマイチだったことだ(モンスター戦はそれほど多くなく感覚的には人対モンスターが7対3ぐらいだった)。モンスター相手にはテイクダウンが不可能なのでステルスがあまり意味を持たない。一応、暗い場所でじっとしているとモンスターのターゲットになりにくいようなのでやり過ごしたり、非戦闘状態でエアガン(このゲームではスナイパーライフルに相当)でヘッドショットを狙ったりと全く無意味ではないのだが、モンスターとの戦闘が強制イベントであることも多く、結局はただの銃撃になる。しかも、大型モンスターの多くはやたら硬く、数も多いのでほぼヘッドショット必須であった。また、中盤以降に登場するイタチのような小動物系モンスターは体力自体は低いものの、小さい上に素早く動き回り、ヒットアンドアウェイですぐに隠れてしまうのでストレスが貯まる戦闘が強いられる。単に邪魔でイライラさせるだけだった。
このゲームでのサバイバル要素も不満だった。この世界では至るところで有毒なガスが充満しており、5分おき程でガスマスクのフィルターを交換しなければならない。このフィルターは使い捨てで、ショップである程度ストックを買えるものの、基本的には戦闘の合間に探し回って見つけていかなければならない。プレイしていると頻繁にガスマスクフィルター交換を強制させられるうえ、フィルター切れの危険性があるため、のんびりマップを探索することも許されない。はっきり言ってこのガスマスク要素はめんどくさいだけで不要だ。しかもレベルデザイン的に変に複雑で(特に地上)、建物の奥まで進んでも結局袋小路だった、ということも多かった。時間制限という心理的プレッシャーがつきまとう中でマップの隅から隅まで見ておきたいというゲームプレイの幅を狭めるこのサバイバル要素には疑問が残る。
不満点を長々と書いてしまったが、クリアまでプレイして概ね満足している。epic game launcherでの表示を見ると14時間ほどのプレイでクリアだったようだが、廃墟と地下鉄駅という変化をつけづらいシチュエーションでそれなりのバリエーションも用意されていて飽きずに続けられた。無料だったので所持している人も多いと思うが、特にステルスゲームが好きなプレイヤーには是非プレイしてほしい。