W3Tecksによると、全てのウェブサイトのうち4%がCloudFlareから配信されているそうだ。CloudFlareとはCDNDDoSプロテクションなどを提供するIT企業。サービスを開始してから数年しか立っていないことを考えると、4%というのは驚異的な勢いだ。

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ちなみに、CloudFlareのサービスはフリーミアムなのが特徴で、これを書いている現在、このブログもCloudFlareのCDNから配信されている。しかも僕はCloudFlareに一銭も払っていない。普通、CDNサービスは転送量に応じて、そこそこの利用料がかかる。しかしCloudFlareはタダで転送量無制限。これが爆発的に人気を集めている理由だ。

TorやAnonymousから嫌われるCloudFlare

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急速に普及し始めているCloudFlareだが、一部のインターネットユーザからは猛烈に嫌われている。というのもCloudFlareが提供するDDoSプロテクションがTorユーザやハッカー集団Anonymousと相性が悪いのだ。

Torとは匿名性を高めてインターネットを利用するためのソフトウェアで、日本では違法行為や犯罪予告などのイタズラに利用されているイメージが強い。しかし、海外では政府の検閲や監視を回避するために利用している、真っ当なユーザも存在している。

ところが、その匿名性の高さ故に、真っ当なTorユーザと悪意あるTorユーザをCloudFlareは判別できない。その結果、真っ当なTorユーザがCloudFlareを利用しているウェブサイトにアクセスするたびにcaptchaを入力させられたり、通常のユーザであることを認証させれる羽目になる。実質的に「インターネットがぶっ壊れる」わけだ。

また、CloudFlareはISIS(イスラム国)関連のウェブサイトにも利用されている。ISISと敵対しているAnonymousはこういったISIS関連のウェブサイトや掲示板を「攻撃」するわけだが、CloudFlareのプロテクションがその「攻撃」を邪魔するのだ。Anonymousからすれば、CloudFlareはISISを保護する極悪企業であり、彼らによるネガティブキャンペーンが広く行われている。まあ、犯罪者集団のAnonymousの敵ということはCloudFlareこそ正義であるとも言えそうなのだが。

縁の下の力持ち

賛否はあるものの、CloudFlareが果たす役割が大きいのは確かだろう。国内でも、例えば2ch.netなど巨大なサイトでもCloudFlareを利用している。無料・安価にCDNが使えることによってインターネット全体が高速化しているのも確かだ。表立って見えないだけで、ウェブサイトの4%は、たった数年前に出来た企業であるCloudFlareに依存しているのだ。

ただ、これだけインターネットがCloudFlareに依存していると、もしCloudFlareに大規模な障害が発生した時が怖い。事実、CloudFlareはしょっちゅう障害を起こしている。たった一社に問題が発生するだけで4%のウェブサイトが壊れてしまうわけだ。インターネットはインフラであって、CloudFlareやGoogleなどの小数企業が寡占している現状では痛い目にあうことも覚悟して置かなければならないだろう。