寒風吹きすさぶ年末、長風呂にてのぼせるという出来事があった。

風呂は良い。冷えた体を芯から温め、心まで暖かくなってくる。しかし、浴槽から起き上がった瞬間に視界が歪み、吐き気に襲われた。風呂でのぼせるのは久々、いや、もしかしたら初めてかもしれない。調子に乗って30分ほど湯につかったのがまずかった。

立ってられないのでふらふらしながら、倒れるように寝床に行った。もちろん、全身ビチョビチョである。体を拭く?そんな余裕などない。

仰向けにぶっ倒れたら耳鳴りが始まった。同時に心臓が激しく鼓動するのを感じた。ここまでくると「あれ?これってもしかしてやばい?」と思い始めた。死を意識し始めたのだ。大げさだが、当人は大真面目だ。

人間、生命の危機に瀕するとパニックになるのか、おもむろにスマホを取り出し、Googleで「風呂 のぼせた」などと検索しはじめた。現代人の悲しい性である。まずは情報を集め安心したいのだ。そして、現在の状態が一般的なのぼせの症状で、一時的なものだとわかると、次はマストドンを開き上記のtootを華麗にきめた。

目を白黒させながら死ぬかもしれないと思った人間が最初にGoogleに頼り、次にSNSに投稿するのは、今から振り返るとと滑稽に見えるだろう。しかし、私に石を投げてよいのは地震だ!と思った瞬間にSNSを開かない人間だけだ。そんな人間いるか?いないね。

ちなみに走馬灯は見なかったし、それからはお風呂に飲み物を持ち込み、湯に浸かるのは20分までと決めた。