無料で無数のオープンソースウェブフォントを配布しているGoogle Web Fontsで新たにNoto Sans Japaneseがサポートされました。試験公開とのことですが、Google Web Fontsで日本語のウェブフォントが利用できるのは初めてのことです。
Google Web Fonts として初の日本語フォント Noto Sans Japanese を試験公開中です。 http://t.co/9V0MTGN6Yh フィードバックはこちらへお願いします (英語) http://t.co/T7U4AbXIZ9
— Google Devs Japan (@googledevjp) October 17, 2014
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アーリーアクセスだけど、十分使えるよ
説明によれば、このNoto Sans Japaneseは6,934文字(内、漢字は6,355文字)収録されたサブセットで、普通に使われる漢字はほぼ網羅されています。よほど特殊な文字を使わない限り、”//fonts.googleapis.com/earlyaccess/notosansjapanese.css”を読み込むだけで、今すぐNoto Sansの美しい字体が利用できます。
ただ、通常のGoogle Web Fontsでは、使いたい文字を明示的に指定して特別なサブセットを生成したり、複数のフォントを一度に読み込んだりと便利な機能があるのですが、それらはまだ試験的なアーリーアクセスということで使えないみたいです。
当然、デカイ
数十種類のアルファベット文字だけでよい欧文フォントと違い、日本語フォントは漢字だけでも数千種類必要となるだけに、フォントファイルサイズも巨大になります。
Google Web FontsのNoto Sans Japaneseでは、chromeやoperaなどがサポートしているwoff2形式で1.7MB、IEやFirefoxなどでサポートされているwoff形式で1.9MB、その他古いIEなどでサポートされているopentype形式で2.3MBにもなります。(これを書いている現在)
もちろん、フォントファイルは一度ダウンロードされれば長期間キャッシュされるよう設定されていますし、モダンなブラウザはフォントのダウンロードに時間がかかる場合フォールバックで別のフォントを利用したりするので、パフォーマンスに与える影響は大きくはなさそうですが、あまりに巨大だと使うのが躊躇われますね。
違いは少ない?
英語に比べ日本語はその文字の多さゆえにフリーなフォントは極小数しかありません。その数少ない選択肢の1つがNoto Sans Japaneseなわけですが、一般的にウェブサイトで使われているOS標準フォントとどれほど差があるのでしょうか。実際に確かめるためにNoto Sans JapanesesとMeiryo、IPAexゴシックでそれぞれ「吉野家コピペ」をchromeで表示したスクリーンショットがこの画像です。
どうでしょうか。いろんなフォントで、いろんな大きさ、細さを変えて見比べられるデモページも作ったので、こちらも利用して違いを実際に見てみてください。
私自身としては、わざわざNoto Sans Japaneseを利用するほどの明確な差は感じられませんでした。フォント自体の品質も「どんぐりの背比べ」或いは「好み」の域を出ていません。日本語フォントがインストールされていないユーザの為に使ったり、他のサイトと(わずかな)違いを出してスタイリッシュな印象を出したりするのに使ったりするのでしょうか。使いどころがよくわかりません。
結論としては、「微妙」という意見しかありませんが、これから複数の日本語フォントがGoogle Web Fontsに追加されるような事があれば話は別です。美しいタイポグラフィはイメージや印象に深く関わる部分ですから、現状の”OS標準”に不満がないわけではありません。日本語圏におけるウェブフォントは”これから”ということなのでしょう。